「A4収納できる古道具の小引き出し|価格の差とアンティークショップのメンテナンス事情」
A4サイズが入る小引き出しの魅力と希少性について
古道具の中でも人気が高いのが「小引き出し」。机の上や棚の上に置ける便利な収納家具で、和室にも洋室にも馴染むことから、幅広い世代に支持されています。
しかし、同じ小引き出しでも「なぜこの商品は他より値段が高いの?」と感じることがあると思います。その理由のひとつが サイズの実用性と希少性 にあります。
1970年代まではB5が主流、A4収納は希少
現在もっとも使われている用紙サイズはA4(210×297mm)ですが、日本でA4が本格的に普及したのは1980年代後半から1990年代にかけてです。
1970年代までは日本独自の規格であるB5(182×257mm)が主流で、学校教材や役所の文書、ノートなどもほとんどがB5サイズでした。
一方、A版は国際基準(ISO規格)であり、世界的にはA4が標準。オフィスの国際化やコピー機の普及とともに、日本でもA4への移行が進み、1990年代には完全にA4が定着していきました。
そのため、1970年代以前に作られた小引き出しはB5用が圧倒的に多く、A4が収まるサイズの小引き出しは非常に珍しいのです。現代の暮らしにフィットするA4対応の古い小引き出しは、実用性と希少性を兼ね備えたアイテムとして人気が高く、価格に反映されやすい傾向があります。
1970年代以降の変化と希少性
1970年代以降になると、当時の小引き出しはデザインや素材が大きく変化していきます。
それまで主流だった無垢材の家具から、合板やメラミン化粧材が多用されるようになり、質感や雰囲気も大きく変わりました。これは、時代が「大量生産・大量消費」へと移り変わったことを背景としています。
その結果、B5サイズ対応の小引き出しは多く出回った一方で、A4サイズが入るものは数が少なく、なおかつ昔ながらの無垢材で作られた雰囲気を残す品は極めて希少です。アンティークとしての価値を持つのは、こうした「当時の空気感」を残している小引き出しだと言えるでしょう。
引き出しの数より大切なポイント
「引き出しの数が少ないのに値段が高いのはなぜ?」というご質問もよくいただきます。古道具の価値は、単純に引き出しの数で決まるわけではありません。
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木材の質や仕立ての丁寧さ
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デザイン性(シンプルか、凝った意匠か)
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実用性(A4対応、奥行きの深さなど)
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保存状態の良さ
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裏や正面の「印」(工房や家具店の銘)
こうした要素が総合的に評価され、価格がつけられます。
アンティークショップごとの価格の違いについて
同じような小引き出しでも、ショップごとに価格が異なるのは珍しくありません。これは、
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仕入れルートの違い(業者仕入れか、個人買取か)
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メンテナンスや修復の有無(洗浄・研磨・金具の調整など)
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使いやすさへの手直し(引き出しの滑りを良くする、欠けの補修など)
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販売スタイル(そのまま現状渡しか、メンテ済みか)
といった違いによるものです。
現状渡しの安価なものもありますが、実際に使うには修理が必要な場合もあります。逆に、きちんとメンテナンスされた小引き出しは安心して日常使いができる分、価格が上がるのは自然なことです。
まとめ
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B版は日本独自の規格、A版は国際規格(ISO)
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日本でA4が主流になったのは1980年代後半〜1990年代
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1970年代以前のA4サイズ対応小引き出しは非常に希少
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1970年代以降は合板・メラミン化粧材が増え、無垢材のA4小引き出しは特に価値が高い
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引き出しの数より、材質・デザイン・実用性が価値を左右する
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ショップごとの仕入れやメンテナンスで価格に差が出る
古道具は一点ごとに個性があり、同じ「小引き出し」でも大きく表情や価値が異なります。特にA4が収まるサイズのものは、実用性と希少性を兼ね備えた特別な存在。出会えたときはぜひ手に取ってみてください。